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1学期始業式 柔らかくしなやかな感性を磨くには

1学期始業式 柔らかくしなやかな感性を磨くには

 4月8日(金) 宇土中学校・宇土高等学校1学期始業式 校長挨拶 

 

去年今年貫く棒のごときもの

昭和25年(1950年), 今から72年前に76歳の高浜虚子が詠んだ句です。

高浜虚子にとって貫く棒とは何だったのでしょうか。皆さんそれぞれにとっては去年今年貫く棒とは何でしょうか。

新年度新学期を迎えて皆さんの気持ちは何に, 何処に, 向かっていますか。今の気分は3月とどう違いますか。

我十有五にして学に志し, 三十にして立つ。四十にして惑わず, 五十にして天命を知る。

古代中国春秋時代, 紀元前500年頃, 今から2500年前の思想家孔子の言葉です。志を立てる真最中の10代の皆さんには, 限りなく広がる未来があります。悩み, もがきながらも将来の夢や希望に向かって, 新年度新学期の新たな目標を胸にしていると思います。一方, 私は50代半ばにして, 天が自分に与えた使命を理解したとは言いがたく, 右往左往しながらも, この宇土中学校・宇土高等学校での使命や責任を自覚し, しっかりと果たしていこうという決意を持ち, 今ここにいます。

冒頭の句には, 去年から今年へと年は変わり, 周囲の状況がどんなに変わろうとも, 自分の中には変わらない信念が貫かれているという解釈があります。

私にとっての貫く棒は, 私の内側ではなく外側にある, この世界の自然や物事です。確かに限りある生命, 四季の移ろい, 出会いと別れ, 周囲の状況は刻々と変化するけれども, 見えない奥深いところには貫く棒のごとく微動だにしないものがあるような気がするのです。

だから, 私たちの方が, 様々な変化に対応すべく, 行きつ戻りつしたり, 七転び八起きしたりしながら, どうにかこうにか前へ進んでいるように思うのです。

今から30年ほど前の1990年代に国連難民高等弁務官として冷戦終結後の世界各地で難民支援活動の指揮を執られた緒方貞子さんは, 若者たちへ次のようなメッセージを綴られています。

 「国の内外を問わず, 自分で歩いてみることを, 若い世代にすすめます。何でも見てやろう, 何でもしてやろうという姿勢を意識的に持ってもらいたい。成長の鍵は好奇心。常に問題を求め, 積極的に疑問を出していく心と頭が必要です。」

皆さんは, 信念を固めるにはまだ若すぎます。貫く棒に歩みを進めたり, 働きかけたり, 目を凝らしたり, 耳を澄ましたりしながら, 柔らかくしなやかな感性を磨いてほしいと切に願い, 始業式の挨拶とします。

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