令和6年6月2日(日)に行われた熊本地学会の巡検会に参加しました。
講師は、人吉生まれ人吉育ちの相良北小学校の村本雄一郎校長先生です。
今回のテーマは、「人吉盆地に分布する火砕流堆積物」。
人吉盆地で、様々な火砕流堆積物を観察し、火山や地震によってできた地形を観察しました。
また、過去に湖であったことが分かる人吉層とよばれる湖性堆積物を観察したり、移動の際には至る所で、令和2年の豪雨災害の爪痕を目の当たりにしたりして、豪雨災害の恐ろしさを感じることができました。
人吉盆地で見られる主な火砕流堆積物
人吉盆地で見られる主な火砕流堆積物とその特徴は、以下の通りです。
鉱物組成については、巡検会資料(村本先生の卒論)から引用しております。
1 ㈱共栄精密周辺 (人吉市鬼木町)
ここでは、加久藤火砕流堆積物の強溶結部と、弱溶結部を観察できました。
また、近くでは、人吉盆地を遠望することができました。
・村山台地は、火砕流台地であり、阿蘇4火砕流の上に、入戸火砕流堆積物が乗っかっている。阿蘇4の部分は、人吉駅裏の大村横穴古墳群の横穴古墳が掘られている場所である。
・安山岩でできた鏡山は、馬蹄形をしており、山体の地滑りによって現地形ができていると考えられる。
・本県最高峰の国見だけ1739mが見え、その手前には、洪水安山岩によりできた平らな地形も見ることができる。
2 相良村
ここでは、鳥浜火砕流堆積物を観察することができました。
粗粒な石英の斑晶が含まれており、露頭表面も結晶面がキラキラと光っていました。
3 京ヶ峰古墳(錦町)
ここでは、阿多火砕流堆積物を観察することができました。
4 ホテル華の荘(人吉市蟹作町)
ここでは、樋脇、加久藤?、阿多?、阿蘇4?、入戸火砕流堆積物を観察することができました。
入戸(いと)火砕流堆積物は、発見当時の鹿児島県国分市入戸(いりと)のシラス崖において見つかったため、入戸火砕流堆積物とよばれるそうです。
5 西瀬橋(人吉市西瀬町)
ここでは、人吉層の褶曲、不整合、阿蘇4を観察することができました。
6 人吉層(人吉市中上町大柿)
ここでは、過去に人吉盆地が湖であったことを示す、人吉層を観察することができました。
7 JR渡駅
令和2年豪雨災害の爪痕が残っていました。球磨川の氾濫により、かなり高い位置まで浸水していたことが分かります。
8 茶屋集落
9 渡~池の下
① 球磨川第二橋梁を渡ったところ
② 線路が曲がっているところ
③ 一勝地駅
球磨・人吉を初めて訪れた人も多くいましたが、人吉盆地の成り立ちや、人吉盆地が火山や地震活動が活発で、洪水の脅威にさらされてきたことを実感できた、大変有意義な巡検会でした。
講師を務めてくださった、村本先生、ありがとうございました!!