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【高校】科学部地学班 地質の巡検会で「金峰火山」の成り立ちを学ぶ!

地学班の生徒が令和7年6月8日(日)に行われた熊本地学会の地質巡検会に参加しました!

今回のテーマは「金峰火山」。熊本市なら、どこからでも見ることのできる金峰山。

でも、阿蘇山より古い時代に活動した火山であることを知っていますか?

今回は、金峰山に詳しい講師の廣田志乃さん(熊本県博物館ネットワークセンター)に、金峰火山の地形や地質、成り立ちについて教えていただきました。

金峰山とは

テレビの電波塔が立っているのが金峰山の一ノ岳(665m)で、その北側に二ノ岳(685m)、三ノ岳(685m)があり、これらの山塊は第四紀更新世に形成された火山の集合体で、金峰火山とよばれます。

金峰火山は、中央部に東西約3.5㎞、南北約4㎞のカルデラを伴うカルデラ火山です。

金峰山の成り立ち

巡検会では、熊本西区役所に集合し、金峰火山の成り立ちについて、簡単に説明してもらいました。

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1 約140万~110万年前 
  金峰火山の古い山体がありました。(古金峰火山の形成)

2 その後
  北側が山体崩壊を起こしました。(金峰火山の北側斜面に見られる流山の地形が形成)

3 約50万年前
  崩壊斜面の北側に、三ノ岳、二ノ岳ができ、間にはカルデラが形成されました。

4 カルデラ内には、カルデラ湖ができ、湖成層(芳野層)ができました。

5 約20~15万年前
  中央火口丘ができ、金峰山一ノ岳が形成されました。

 

その後は、金峰火山の名所を回り、廣田さんに地質案内をしていただきました。

1 丸成産業の露頭(熊本市西区松尾近津)

  金峰火山古期噴出物の成層する凝灰角礫岩と安山岩溶岩の観察

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2 前田家別邸(玉名市天水町小天)

 夏目漱石の小説『草枕』の舞台となったお宿

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 小説『草枕』の中に出てくる実際の「浴場」の様子(左:男湯、右:女湯)

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二ノ岳火山岩類の観察

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3 実山(げんやま)展望公園(玉名市天水町小天)

   二ノ岳(右)および三ノ岳(左)の遠望

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4 特別養護老人ホームみかんの丘入口付近(熊本市西区河内町白浜)

  流山の地形(天水町部田見付近)を観察

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5 拝ケ石巨石群(熊本市西区河内町 JA熊本市芳野支店近く)

   古期金峰火山岩類の巨石群

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  二ノ岳(左)、三ノ岳(右)の遠望

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  方位石で磁気異常の観察 

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6 一ノ岳登山道駐車場(西区河内町岳)

  金峰山第2駐車場に駐車。 金峰火山新期噴出物の観察および採集。

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7 上川床の湧水(河内町岳)

  優峰園フルーツランド駐車場に駐車。

  名水百選である金峰山湧水群の一つ。

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  湖成層である吉野層は、泥岩と、凝灰岩や砂岩からなり、植物化石が多く見つかる。

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  泥岩が染みこんできた地下水を通しにくい不透水層であるため、地下水が湧水する。

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8 熊本市西区役所

立田山断層による断層地形の観察

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熊本市市街地の北部-南西部にかけては、いわゆる立田山、花岡山、万日山、独鈷山、城山、御坊山などの小山地が北東-南西方向に直線的に並んで分布している。

これらの小山地の地質は、金峰火山外輪部の山麓部を構成する岩石と同質の安山岩質溶岩、火山角礫岩、凝灰角礫岩などの火山噴出物およびその 2 次堆積物で構成されている

また、これらの山体を構成する岩層の傾斜は、地形的な片流れの緩い斜面には平行である。

これら山体と金峰山一ノ岳との間には、立田山断層が走っている。

最後に

途中、小雨が降りましたが、何とか解散するまでは雨が持ちこたえてくれました。

皆がよく知る金峰山の成り立ちを、実際に地質を見て回りながらよく理解することができました。

講師の廣田さんをはじめ、熊本地学会の皆様、ありがとうございました!

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